しかし、川北氏のもつ背景からなのかゆるりと語りを始めると徐々に参加者は目が一転に集中していくように見えた。そこへ遅れての到着であったものの何と120キロ以上も遠く和歌山県新宮市から2名が到着するといよいよワークショップを交えながら軽快な語りへと進める川北氏のファシリテーションが場を包んでいるように進められていく。
NPO、商店街活性、行政、若者、既存社会、ボードゲーム、補助金・・・などのキーワードから「合意形成には感情がある」という川北氏がこれまでまちづくりに携わってきた語りが、参加者自身の取組に照らし合わせてそれぞれの捉え方をしているようだ。そこでなぜボードゲームなのか?と感じ始めたとき、最初のゲーム(アイスブレイク)『ハイカット&ローカット』で参加者は引き込まれ、『犯人は踊る!』カードが配られた。素直にゲームとして楽しむことができた後にこのゲームの醍醐味があり、集まった参加者のコミュニティが生まれた。参加者の熱量が上がってくると次のゲーム『teltstrations』は、イラストを
言語にした伝言ゲームで完全に参加者の熱量はピークになった。全員が大きく笑い、表現の多様性を感じ、小さなコミュニティから始める川北氏のまちづくり手法が顕著にあらわれた。
ここからまた川北氏の語りが始まり、ボードゲームのリフレクション(振り返り)の中から「ゲームは目標が明確だから、仮説と実証が行いやすい」ことと『まちづくり』を重ね合わせ、「誰のため?」「何のため?」「ルールはある?」「未来はある?」と問いかけて取り組むことが大切であると伝わった。
川北氏からは、ボードゲームを人と人との交流を拡げるツールとして多様なまちづくりに活用してきたところ、県内各地で拡がり始めている事例紹介がり、そのコミュニティからまちづくりへの合意形成の感情が良好な関係性へと動き始めている実感を語っているように見えた。
その語りから「まちづくりを意識しないまちづくり」「やりたいことをちょっと盛り上げるくらいの取組から」「小さな入り口から始め仕組みを作りながら発信を大きく」「時には人に合わせて仕組みを変えるくらいの取組で」が川北流ボードゲームのトリセツに見えた。